こんにちは。
屋根や外壁にはシーリング材という材料を使用して施工することがあり、シーリング部分に劣化が起きた場合は補修が必要です。特にサイディングの場合はジョイント部分にほとんどの場合シーリングが施されています。新築時に使われている物は比較的劣化が早いので築10年ほどすると劣化してひび割れたり破断して垂れてきたりします。そのため定期的にメンテナンスが必要になってきます。
実はシーリング材にもさまざまな種類があり、リフォーム内容によって使い分けます。
また、シーリングと読んだりコーキングと読んだり業者さんや職人さんによって呼び方も様々ですが、違いが分かりにくいのでよく何が違うのかというご質問をされます。
今回は、外壁塗装を検討している方がわかりやすいようにシーリング材の用途や種類、特徴などを解説します。また、建築用語のコーキング材との違いについても解説するので、一緒にチェックしてみましょう。
■目次
- シーリング材の用途とは?
- シーリング材の種類・特徴
- こんな症状がでたら注意!
- まとめ
■シーリング材の用途とは
1.シーリングとコーキングの違い
外壁塗装の見積もりを取ると業者によって「シーリング工事」と書いてあったり「コーキング工事」と書いてあったりして何が違うのかわからないというご質問をいただくことが良くあります。何となくシーリング工事の方が良さそうという印象を持たれている人も多いので違いを説明します。
結論から言うとシーリングもコーキングも呼び方の違いだけで特に違いはありません。コーキング材とシーリング材と呼び方が違っていても中身はあまり変わりません。
強いて言えば、シーリングはペール缶と呼ばれるものに入っていて職人が持っているコーキングガンと呼ばれるコーキングをするための器具に入れて使われます。
一方コーキングは、そのシーリング材がカートリッジに入っていて使うタイプの物です。
中身は同じですが、ペール缶の方が小分けにされたシーリングカートリッジより多少割安になっています。商品のよってカートリッジ1本でシール工事ができる範囲は違いますが、おおむね20坪の家で20本ほど使うことになるのでペール缶を使う業者さんも多いかもしれません。
2.イディングのひび割れを防ぐ
窯業系サイディングは、そのサイディングボードを外壁の下地に張り付ける工法で施工するのが特徴です。サイディングボード自体は一定の硬さが必要で重くならないように薄く作られています。重量を軽くするために繊維を混ぜ込んでいるので、気温変化で膨張・収縮をしたり地震の揺れなどで負荷がかかったりすると、ひび割れや破損を起こす可能性があります。そのため、「目地」と呼ばれる隙間にシーリング材を充填し、サイディング同士が揺れや熱膨張でぶつかって破損することを軽減することで不具合を防ぐ目的でシーリングがされています。
3.接着剤として建材を固定する
シーリング材の2つ目の用途として建材を固定するために使うことがあります。
例えば屋根工事では、屋根の棟板金が飛んでいかないように釘で固定しますが、釘を打ち込んだところにシーリング材を打つとさらに抜けにくくなって飛散防止に役立ちます。
また、瓦屋根のズレを補修する際に、シーリング材を接着剤として使用するなどシーリング材が持っている接着性を活用した工法があったりします。
4.雨漏りの応急処置
本来はちゃんと補修をした方が良いのですが、応急処置として雨漏りが起きている場合、劣化箇所をシーリング材で埋めることで対応することができます。
雨漏りの原因になりやすい劣化症状は、
・金属屋根の穴あき
・屋根や外壁のひび割れ
・天窓やサッシまわりのシーリングの破損
などです。
特に窓回りの雨漏りは気が付きやすいのですぐに気が付くと思いますが、雨漏りで水分が建物内部に侵入すると、構造躯体に影響を与えて家の寿命を短くするので、早期に止めた方が良いのですが、そうはいっても全体を補修するためには見積もりを取ったり時間がかかるのでとりあえず応急処置としてできることとして雨漏り箇所をシーリングで埋める等の方法があります。業者に依頼をせずDIYで考えている場合はホームセンターなどでシーリング材を購入すると思いますが、適切な材料を購入しないと後で塗装を行う時に逆に問題になる場合もありますので適切なシーリング材を選ぶようにしてください。。
5.価格目安
シーリング材を用いた工事(シール工事)には、「増し打ち」と「打ち替え」という2種類の工法があります。業者にリフォーム工事を依頼した場合、工事の価格目安は以下のとおりです。
【打ち替え工事】
工事内容:既存のシーリングを剥がして新しくシーリング材を入れる
価格目安:800円~1,500円/m
【増し打ち工事】
工事内容:既存のシーリングの上から新しいシーリング材を塗る
価格目安:600円~900円/m
当然業者によって設定価格は異なりますし、使用するシーリング材の種類や地域や劣化状況などで費用は変わってきます。2階以上の場合はプラスして足場代などの費用が必要な場合もあるので、正確な工事価格を把握するために現場調査・見積りを依頼してみましょう。
■シーリング材の種類・特徴
シーリング材には様々な種類があります。そして素材によって耐久性や価格が変わってきます。そのため用途に合わせて適切なタイプを選ぶ必要があります。それぞれの特徴を解説していきます。
1.ウレタン系の特徴
ウレタン系シーリング材は硬化すると高い弾力性を持ち、密着性が高いメリットもあるため外壁のひび割れや目地の補修によく使用されます。ただし、紫外線に弱く耐候性が低くホコリ等が吸着しやすいなどのデメリットがあることから、屋外で使用する場合は上から塗装するなどの保護が必要です。また、塗装後に汚れにくいノンブリードタイプと言われるものもあります。
【主な使用用途】
ALC・窯業系サイディングの目地
窓枠まわりの目地
コンクリートのひび割れ補修
2.シリコンの特徴
シリコン系シーリング材(シリコンコーク)は、耐候性・耐水性・耐熱性に優れていて、比較的価格が安いことからコストパフォーマンスが良いシーリング材として良く使われています。
シーリング施工後にシリコンオイルというものが出るため、周辺が汚れやすく密着性も悪くなるので上から塗装をすることはできません。商品の中には専用のプライマーを使用することで塗装が可能な場合もありますが、基本的に外壁には使用しないシーリング材です。
【主な使用用途】
ガラスまわり目地
屋根瓦の補修
浴室・浴槽・洗面台・キッチンまわり
3.アクリルの特徴
アクリル系シーリング材は、水性タイプで作業性に優れているのが特徴です。価格は安いですが、硬化後に肉やせが起こる性質があり、耐候性・耐久性が低いデメリットがあります。新築時にはよく使用されるものなのですが、その後のメンテナンス性を考慮するとリフォーム工事ではほとんど使われません。
【主な使用用途】
ALCの目地
塗装・クロスの下地処理
4.変成シリコンの特徴
変成シリコン系(変成シリコーン系 )シーリング材は、シリコンという名前がついてはいますが、シリコン系シーリング材とは別物です。変成シリコンは、ウレタン樹脂を原料としたもので、耐候性・塗装性に優れていることからさまざまな用途に使用できるのが特徴です。シリコン系よりも耐久性が低く、ウレタン系よりも密着性が劣るデメリットがありますが、硬化後に上に塗装が可能なので外壁の補修にも使用できます。もしDIYで補修を行うのであればこの変成シリコン系のシーリング材を買って使うことをお勧めします。
【主な使用用途】
窯業系サイディング・コンクリート・ALC・タイルなどの目地・サッシまわり
躯体・板金加工など
5.ポリウレタン系の特徴
ポリウレタン系のコーキング材は耐候性能が非常に高く、耐久性が非常に長いのが特徴です。可塑剤という柔らかくする成分を使わずに柔らかさを保てるので、「ノンブリード」と言って成分の染み出しなどが少なく上から塗装ができ、塗料付着性が良く、塗装下地にも最適とされているので良く選ばれるようになりました。
ただし、可塑剤を含まないのでウレタン系やシリコン系より少し硬く施工がしにくい(手が疲れる)という理由で使わない職人さんもいます。また、性能が良いので単価も他のものに比べると高く、粘度が高いので1本でできるm数が少ないので少し割高になります。ただ、しっかり施工できれば非常に長きにわたって使用できるので長い目で見るとお得かもしれません。
※オート化学工業 オートンインクシードHP参照
- 1液性と2液性のシーリング材
上の素材の違い以外にシーリング材には1液性(1成分形)と2液性(2成分形)と言うものがあります。それぞれの違いについて解説します。
【1液性】
缶タイプやコーキングガンを使用するタイプがあり、自然に硬化するように作られているのでそのまますぐに使えるのが特徴です。準備に手間がかからず、部分補修や施工箇所が少ないときに使用されます。
【2液性】
主剤と硬化剤が分かれているタイプです。硬化剤の種類によってさらに分かれますが、硬化剤と反応することで固まる性質(硬化剤を入れないと固まらない)の材料です。専用の撹拌機でしっかりと混ぜ合わせる必要がありますが、用途に合わせて分量を多く作ることができます。硬化剤の量などによって固まる速さを調整できたり一度に多くのシーリングを使う時などはこの2液性を使うことが多いです。ただ、2液性は塗装知識や技術がないと硬化不良を起こす可能性があるので使い方に慣れているかどうかを職人の方に確認した方が良いかもしれません。
■こんな症状がでたら注意!
応急処置的にシーリングをしたとしてもシーリングは紫外線や雨風などの影響を受けて劣化が起こります。どのような劣化症状が起こるのか知っておき適切にメンテナンスをしてください。
1.ひび割れ
ほとのどのシーリング材には可塑剤という柔らかくする成分が入っていますが、その可塑剤が紫外線で減ってくることで硬くなります。そうするとちょっとした地震による建物の揺れに追従できずひび割れしたり、経年劣化によってひび割れが起こります。他にも、チョーキングや変色などシーリング表面に劣化が起きているときは、点検・メンテナンスを検討しましょう。
2.破断
破断はシーリング材が硬くなってひび割れが起こり、柔軟性が失われたことによって真ん中から切れてしまう劣化症状です。シーリング材の寿命やもし短期間で起こるような場合は施工時のプライマー不足の可能性があります。放置すると剥離して剥がれてきます。そうするとその部分の防水性は下の透湿防水シートだよりになりますので雨漏りやサイディングの劣化の促進につながります。早急に適切なシーリング材を使用して、打ち替え工事をする方が良いです。
3.肉痩せ
肉痩せは、シーリング材に含まれる可塑剤が溶け出す劣化症状です。シーリングの厚みが薄くなって隙間ができるため、雨漏りの原因になる場合があります。経年劣化でないときは、施工時にシーリング材のボリュームが足りていなかった可能性も考えられます。リフォームではこの肉痩せを見越してシーリング材を入れるのですが、量が足りていなかったり暑さなどで急激に乾いた場合などは想定より肉痩せしてしまい、痩せる時に周りを引っ張るのでその影響で再度に隙間ができる場合があります。もしこのような状態になっていおると雨漏りの原因にもなるので早急に補修が必要な劣化症状なので、業者に点検を依頼しましょう。
4.メンテナンスは10年を目安に必要
通常のシーリング材を使っている場合のメンテナンスは、7年に1度を目安に行う必要があります。特にアクリルやウレタンを使っている場合には比較的早めに劣化が起きてきます。シーリングを行う箇所は水の侵入を防ぐ必要がある箇所でもありますので放置しておくと中に水が回りイザ補修をしようとしても思ったより劣化していて費用が高くなる場合も多いです。そのため劣化症状が軽いうちに点検をしてもらって適切なメンテナンスをすることをおすすめします。もし屋根や外壁塗装の点検・メンテナンスを考えている場合はしっかりとシーリングもチェックしてもらうことが大事です。
■まとめ
窯業系サイディングの塗替え工事では必ずシーリング工事が付随してきます。サイディングの破損を守るために必要なものなので慎重に選びたいですよね。ポリウレタン系以外のシーリングは可塑剤が多く含まれていて紫外線で必ず劣化してきます。塗替え時に上から塗装をすることで紫外線が当たらず劣化はしにくいので高価なポリウレタン系でなくても問題はありませんが、気になるようでしたら見積もり時にご依頼ください。
選ぶシーリングによって値段も耐久性も変わってくるのですが、見積時にはシーリング工事一式としか書かない業者も多いので必ず何を使うのかを確認する方が良いと思います。
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